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M&A備忘録

某投資銀行に勤めるアキラが綴るM&Aに関する備忘録。法制度や会計・税務の小ネタはもちろん、気になる事例の紹介や私見も書きたいと思っています

スクイーズアウト手続き完了までの道のり(スケジュール編)

 

スクイーズアウト手続きを行うには、全部取得条項付き種類株式方式か、株式交換方式のどちらかの手法をとる必要があります。前回は手法そのものを簡単にまとめましたが(手法そのものの整理は、コチラをご覧下さい)、今回は、圧倒的多数の事例が採用している全部取得条項付き種類株式方式のスケジュール・主なイベントを整理していきましょう。

 

全部取得条項付き種類株式方式のスケジュール・主なイベントを理解・整理する上で、キーとなる項目は以下の4つです。今回もひとつずつ整理していきましょう。

1. 基準日設定

2. 株主総会

3. 上場廃止・全部取得条項の効力発生

4. 端数株式の売却代金受領

 

1. 基準日設定

全部取得条項付き種類株式方式は、手法そのものを整理した時に書いた通り、株主総会の特別決議を経る必要があります。

この株主総会ですが、議決権を行使するためには、ある特定の時点にその企業の株主名簿に株主として記録される必要があります。ある特定の時点のことを「基準日」といい、この「基準日」を設定し、株主総会で議決権を行使できる株主を確定させることを基準日設定といいます。

基準日設定をするためには、会社法で定められた公告という手続きをする必要があります。公告は基準日から14日以上前に行う必要があります。

 

2. 株主総会

株主総会で議決権を行使できる株主を基準日設定の公告で確定した後、株主総会の準備をする必要があります。株主総会の準備に当たっては、①株主総会の議案の確定、②株主総会の招集通知の発送という大きくは2つの手続きが必要です。

株主総会の議案の確定は、その企業の取締役会の決議でいつでも確定できます。一方、株主総会の招集通知の発送には、実務的に、①基準日の株主が誰なのか調べる作業、②招集通知の発送のための宛名シールの作成・招集通知の印刷に地味に時間がかかることが多いです。私がお手伝いした案件でも、①と②を合わせて1ヶ月から1ヶ月半程度の期間を要します。

そして招集通知を発送しますが、招集通知を発送してから株主総会までは14日以上の期間をあける必要があると会社法に定められています。

 

3. 上場廃止・全部取得条項の効力発生

株主総会で全部取得条項付き種類株式方式の各種議案が承認されたことをもって、株式が上場されている取引所は、当該株式を上場廃止が確定した銘柄が登録される整理ポストに割り当てます。株主総会から上場廃止まではだいたい1ヶ月の期間が設けられます。

取引最終日から起算して5営業日目に全部取得条項の効力が発生し、全部取得条項付き(普通)株式は会社によって取得され、その対価として株主には端数株式が割り当てられます。

 

4. 端数株式の売却代金受領

端数株式は会社法に従って、会社が適正な価格でもって当該端数株主に金銭交付することとなっています。この適正な価格は、裁判所の許可に基づく必要があり、端数株主が端数株式の売却代金を受領するまでには1ヶ月半から2ヶ月程度の期間を要します。

 

まとめると、TOBが成立してから株主総会まで2ヶ月から2ヶ月半程度の期間を要します。株主総会の決議後、1ヶ月程度で上場廃止となって取引所での株式売買ができなくなります。さらに、上場廃止後、1ヶ月半から2ヶ月程度で端数株式の売却代金を受領することとなります。